チャイナチャイナ問題
アフリカを旅してて、軽く100回は言われた言葉。
「チャイナチャイナ〜!」
アフリカだけでなくて、インドとか他の国でも「チャイニーズ?」って客引きのおっちゃんに声かけられることはあったけど、
なんかアフリカの場合は、道端で暇そうに座ってるおっちゃんとかにも、馬鹿にした感じで言われる。
「ハハハ、チャイナ〜!チンチョン!(中国語の真似)!!」
みたいな感じで。
エチオピアとかは特にそれが激しくて、道歩いてると100mおきくらいで言われた。
最初の頃は俺に構うなよ💢と思いながら
「アイムジャパニーズ!!」
って毎回主張してた。
俺はされなかったけど、子ども達に「チャイナ〜!」って言われながら石を投げられたりした人とかもいるらしい。
そういうことが原因で、
「エチオピア人ウザい、嫌い」となってしまう旅人も多いらしい。
悲しいことだなと思う。
アフリカの人からしたら日本人と中国人なんて見分けがつかないだろうから、そう思われるのは仕方ないんだけどね。
それでもチャイナ!と言われるとちょっとムカッとしてた。
だけど、よく考えてみるとそれにムカッとするってことは自分も内心で中国のことを下に見ているということ。
アジア人だからって差別するなよと思っていた自分も中国に対して同じ気持ちを持ってるって気付いてハッとした。
さらに、数日その国を旅しただけで、その国を嫌いになるってどうなんだろう。
旅人はあくまでもその国にお邪魔して旅をさせてもらってる立場。
運悪くその国でいい人に会えなかったからといって、その国のことを悪く思うのは立場が逆だなと思った。
だからこれからは、もし中国人だと思われても、そしてたとえそこに悪意を感じたとしても
こっちから笑顔で挨拶して、楽しく会話して「なんだこの中国人いい奴じゃん!」って思ってもらえるようにしようって思うようになった。
もちろん現地の人に優しくしてもらった経験は忘れられないくらい嬉しい。
だけど、もらうことばかり考えていないで、旅人として日本、アジア人を代表して良いイメージを現地の人に残せるように旅したいなって思う。
実際にアフリカを旅してみて、もちろんどの国にも悪い人はいるけど、ほとんどの人は本当に優しい人たちばかり。
ご飯をご馳走してくれたり、家に泊めてくれたり。
そういう人たちと交流した記憶だけを残していきたいなと思う。
何もないけど、たくさんの物をもらった国マラウイ
こんにちは、まおです。
マラウイって聞いたことありますか?
まあ、ないですよね!
そんな方はまずこちらの動画をどうぞ。
10カ国め マラウイ 〜世界最貧国!?〜 まおの世界一周修行の道
マラウイの場所はここ。
実はマラウイは世界最貧国の1つとも言われていて、国民の年間平均給与は350ドル(4万円弱)。日本人の平均給与が300万円くらいだから、100分の1くらいってことですね。
マラウイは周辺国のケニア、タンザニアとかにあるような鉱物資源とかがなくて、唯一あるのは国土の5分の1を占めるマラウイ湖。
だから、観光するって言っても、特にやることがないんですね。
湖に行くくらい。
最初はマラウイはビザ代が高いし(75ドル)、飛ばそうと考えていました。
ですが、キリマンジャロ登頂途中で会ったヤスさんの誘いもあって行ってみた結果・・・
アフリカで一番大好きな国になりました!
1500km以上離れたマラウイへ、ひたすらバスに揺られること3日間。
アフリカのバス移動は本当にしんどい。窮屈だし、4人乗りの車に8人とか10人乗りの車に20人くらい乗ったりする。
ようやく目的地のケープマクレアに到着。
湖沿いに旅行者向けのホテルと、地元の人々の家が混在して並んでます。
湖沿いは砂浜のビーチになっていてさながら海のよう。水も透き通っていて綺麗。
マラウイに来て驚いたのは、まず挨拶の返答率が100%なところ!
「モリバンジ!(元気?)」と挨拶するとみんな笑顔で挨拶を返してくれます。
子供も恥ずかしそうに手を振ってくれて、とても和む。
今まで旅してたアフリカは都市が多かったからかな?ムスッとした顔つきで歩いている怖そうな人が多かったけど、ここは田舎だからか、お金をむしり取ろうとする客引きの人とかも全然いなくて、ゆったりした時間が流れてる。
湖とともに暮らす人には独特の時間が流れているのかな、と思いました。
湖沿いを散歩してみると、
お母さん達は湖で洗濯していて、子供達は砂浜で遊んでいる・・・これこそが平和だなと感じました。
子供達が集まって来た!
めちゃくちゃ笑顔!
サッカーしてた子供達に混ぜてもらった
マラウイの子供のパワーがすごい!!!!
マラウイ湖に沈む夕日。
アフリカの空、特に夕焼けは特別な色をしてる気がする。
ビルとかが一切ないからかな。一面に広がる燃えるような赤色、そして夕日が沈んだ後も名残惜しそうにの空に残る赤紫色。
ここの子供達は毎日この夕日を見て育つんだろうな。
そしてここには街灯なんてないので、夜は真っ暗。代わりに夜空に広がるのは満天の星。
キリマンジャロでも人生初めてレベルの星空が見えたんだけど、マラウイの星空はそれを上回るレベルで綺麗だった。
天の川もくっきり見えて、
贅沢な夜だな〜って思った。
人間が「豊かだな」「贅沢だな」って本当に思うのは、実はお金を必要ないものなんじゃないかな。
こんなに綺麗な夕日、星空、朝日、湖が毎日見れること(それもタダで)
これ以上の贅沢ってないなって思いました。
(だからといって一回上げた生活水準を戻すのは難しいからマラウイに住めと言われたら困るんだけどね・・・)
本当の豊かさ、贅沢って何だろうと考えさせられるマラウイでした。
アフリカ最高峰キリマンジャロ登頂!4日目〜頂上へ〜
前回の記事の続きです。まだご覧になっていない方はこちらからどうぞ↓
4日目〜頂上アタック〜
23時に起床。最後にティータイムということで、ビスケットそしてココアを飲む。
頂上は気温がマイナス20度くらいらしいので、服は6枚も着込んだ。
ヒートテック2枚、フリース、ユニクロのウルトラライトダウンジャケット、マウンテンパーカー、分厚いダウンジャケットの6層構造。
緊張しつつも興奮に胸が高まる。真夜中0時に出発。
昨日までの道と全く違う、急傾斜の砂利道。ベースキャンプからはまっすぐに見えた道だったが、ジグザグになっており、滑らないように気をつけながら登って行く。
同室のジフンと一緒に登り始めたが、高山病のせいなのかペースが遅い。自分のペースを守るために追い抜いてしまい、ひたすら歩いた。ふと振り返ると、あっという間にジフンの姿は見えなくなっていた。
もうこの高度になると、おしゃべりなんてしている人はいない。酸素が薄くて呼吸がしづらいし、マイナス10度くらいの気温で、口も開けられないのだ。体感としては、猛吹雪のスキー場でリフトに乗っている時くらい寒い。
真っ暗な中、月明かりとヘッドライトの光を頼りに一歩一歩たしかめるように歩いていった。
次第に砂利道から大きい火山岩が連なる道に変わる。膝を高く持ち上げないと登れない。
息も上がってきて大きく口呼吸しないといけなくなってきた。
心臓が頑張ってる。全身に酸素と血液を届けるためにペースをあげてくれてるのを感じる。心臓を休ませなきゃ。大きい岩に荷物を立てかけて、手袋を外して水を飲む。まだ頭痛はない。気づいたら周りの景色は雪というか、凍った氷に変わっている。高度は5000mを優に超えているだろう。
そのまま足を進めて行くと、ようやくこの急斜面の終わりが見えてきた。
深夜4時頃、ギルマンズポイントに到着。
高度は5685mで、ここから頂上のウフルピーク(5895m)までは傾斜は緩やかだが、険しい岩道が続く。手足を使って全身で登らないといけないので体力の消耗が激しかった。
幸いまだ頭痛はないし、高山病にはなっていないみたい。
深呼吸を繰り返して、体力的にはほぼ限界だけど、気力だけで何とか登る。
雪山の稜線沿いを歩く。徐々に頂上が見えてきて、同時に地平線の端も明るくなってきた。
もう頂上はすぐそこ。
こんなに綺麗な色に染まる地平線を見たことがあっただろうか。
そして朝の6時。
ついに。
頂上のウフルピークに到着。
やってやったぞ...という達成感が全身をじんわりと包む。
ガイドのアブーシュがハグをしてくれた。
あの時に見た朝日は人生の中でも一番に神々しくて美しい朝日だった。
疲れを忘れて頂上ではしゃいだせいで、そのあと軽い高山病になった(笑)
下山に関しては、「登った山は下りないといけない」というのが正直な感想です。
頂上に登った疲れをそのまま引きずったまま、ほとんど休まずに下山したので、登りより下山の方が数倍シンドかった。
真夜中から歩き始めて朝6時に頂上に着き、そこからほぼノンストップで下山して、夕方の16時までずっと歩いてました。
足がまるで鉛になったかのように無感覚になるくらい疲弊していました。
しかし、全ては今夜あるサッカーの日本代表戦を見るため。感情を無にして歩き続ける。
高度2700mのところまで下りてきて、オフィスが夕方には閉まって登山証明書をもらえなくなってしまうというので、そこからはレスキューカーを使って麓の1800mのところまで下りました。
富士山にも登ったことのない僕が、ほぼ初登山でキリマンジャロに登れたことは大きな自信になったし、人生史上一番美しい絶景に出会うことができました。
もう登山は当分しないと思いますが、
これからも、自分には少し無理なんじゃ?って思うくらいの挑戦を続けていきたいと思います。
いつの日にか、前には絶対無理だと思っていた壁も軽々超えられるように成長できますように。
アフリカ最高峰キリマンジャロ登頂! Climbing Mt. Kilimanjaro まおの世界一周修行の道
アフリカ最高峰キリマンジャロ登頂!1日目〜3日目
ジャンボ!無事キリマンジャロ登山から帰ってきたまおです。
登山経験も全くない自分が、アフリカ最高峰高度5895mのキリマンジャロになぜか登ることになってしまいましたが、人生で一番の景色と経験になったのは間違いないです。
まずは動画をご覧ください!
アフリカ最高峰キリマンジャロ登頂! Climbing Mt. Kilimanjaro まおの世界一周修行の道
キリマンジャロって?
アフリカ大陸で最も高い山。
頂上のウフルピークは高度5895mにもなる。
登山道は、アイゼンを使ったりするようなテクニカルな道ではなく、一般人でも高山病に気をつけて強い意志を持って登れば制覇できるとのこと。
インドでは瞑想、中東ではラマダン、ヨーロッパでは巡礼をするという修行があるけど、アフリカでは修行がないな〜と思っていた僕。
登山なんてどちらかというと嫌いなタイプで、日本でも高尾山くらいしか登ったことはなかったのですが、
キリマンジャロの話を一緒に旅していた人から聞いたその瞬間から、
これは登るしかない。これこそがアフリカでの修行だ。と確信めいた気持ちを抱くようになりました。
6月29日から7月2日の4日間をかけてキリマンジャロを登りました。
取ったルートはマラングルートという通常5日間かかるルート。ですが、7月2日にサッカーの日本代表戦があったので、無理をして4日間で帰ってきました(笑)
かかった費用は1000ドル(会社に280ドル+入山料720ドル)+100ドル(ガイド、コック、ポーターに合計100ドルのチップ)
と、これまたアフリカ最高峰の出費でしたが、それに見合う最高の経験になったと思います。
1日目
初日は、高度1800mの麓からスタート。高度2700mのマンダラハットという山小屋を目指す。
ジャングルに囲まれた道を3時間ほど歩いていく。
道中には猿なんかもいました。
出発して3時間ほどでマンダラハットという山小屋に到着。
山小屋はこんな感じ。
ルームメイトになった韓国人のジフンくんと仲良くなり、一緒にこれから登ることに。
軍隊に4年もいたそうで、とても強そう。
高山病にならないためには
①たくさん食べる
②たくさん水を飲む
③たくさん寝る
ことが大事だそうな。
なのでコックが作ってくれる夜ご飯も大量ですが、頑張って全部食べる。
2日目
朝7時に起きて、コックが沸かしてくれたバケツに入ったお湯で顔を洗う。
もちろんお風呂などはないので、このお湯がかなりありがたい。
今日は3700mのホロンボハットまで向かう。11kmの道のりをおよそ6時間かけて歩く。
熱帯雨林の道を抜けると、だんだんと植生が変わっていく。
低い木、草が続き、火山岩の石ころも増えてきた。
天気はあまり良くなくて、曇り。というか霧。
雲の中にいるのか、霧なのかよく分からない。
時折晴れると、気温は低いはずなのに直射日光がキツくて暑く感じる。上着がいらないほど。紫外線が強い影響なのか、唇も乾燥する。
まだ高山病の影響などはなく、6時間元気に歩いて高度3720mのホロンボハットに到着。
この高度になると、雲が自分より低い位置にあって、まさに雲海というのにふさわしい景色が見れる。
山小屋にはもちろんネット環境などなく、何もやることがないので、20時頃に消灯して就寝。
高山病の薬の影響からか、たくさん水を飲んでいるからなのか、夜に何度もトイレに行きたくなるのだけど、
トイレに向かう途中の道でふと見上げた夜空に、今まで見たこともないくらい無数の星が輝いていて感動した。
3日目
朝起きる。寒い。富士山とほぼ同じ標高だから当然といえば当然だけど。
外で水が凍っていたのでおそらく気温は零下だと思う。
今日は4700mのキボハットというベースキャンプまで6時間かけて登る。
お昼頃に着いて、真夜中まで休憩・仮眠した後、真夜中からいよいよ頂上アタックがスタートするという長い一日である。
歩き始めてすぐは、高さ1mくらいの植物が道のそばにたくさん生えてたけど、だんだん高度が上がるにつれて植物も小さくなっていった。
最終的にキボハットの近く、4300mくらいで森林限界を迎えた。それ以降は砂漠というか、土と石ころ、岩のみ。
高山病が心配だったけど、深く呼吸して酸素をたくさん吸うように心がけていたら、結局元気なままキボハットに到着することができた。
ただ、やはりこの高度では空気は薄く、呼吸するのもしんどく感じる。
無事キボハットに到着して一安心。高度4720m。
そこから見える景色は、完全に雲より上で、その上の空は雲一つない青空だった。
いよいよ真夜中から頂上アタック。
一緒に登っていた韓国人のジフンくんは、高山病の影響でひどい頭痛がするらしく、食欲もなく元気なさそうにしていた。
僕は幸いなことに今のところ高山病になっていないので、
緊張と興奮の入り混じった気持ちのまま、しっかり昼ご飯を食べて、真夜中まで仮眠する。
いよいよ頂上へ・・・(次の記事に続く)
借金踏み倒します!!!
こんにちは。
現在タンザニアにいるまおです。
近況としてはキリマンジャロに無事登頂してきました。これについてはまた書きたいと思います。
前回のブログがエジプトについて書いた記事なのですが、それははるか1ヶ月以上前の話。。。
そこからエチオピア→ケニア→ウガンダ→ルワンダ→タンザニアと来ました。最終的に南アフリカまで行く予定です。
そう!
つまり!
少なく見積もっても5ヶ国分の記事が書けていません!
原因は色々あると思います。
1. ブログの他にもSNS, Youtubeなどにも投稿しているため、ブログに投下する労力が分散されてしまっている
2. 旅が充実するほど、ブログを書く時間は少なくなるという反比例の法則
3. アフリカはWiFi環境が貧しい
4. ただ単にサボり
ということでこれらの借金を返すのは面倒。。。
踏み倒します!
つい最近起こったことを書くほうが自分のモチベーションが上がって、スラスラ書けると思いますので、まずはキリマンジャロ登山の記事から更新していきたいと思います!
エチオピア、ケニアとかでも本当に書きたいことが色々起こったのですが、それらまたあとで時間ができたときに少しずつ書いていこうと思います。
皆さんどうかあたたかい目で見守りください。
これからも当ブログをよろしくお願いします。
まお
灼熱の地・エジプトで熱中症になりながら観光
こんにちは、まおです。
リアルタイムでは現在ケニアを抜けてウガンダ、さらに明日はルワンダに向かう予定です。体調を崩して時間に余裕ができて、ブログ書くモチベーションがまた上がってきたので、サクサク書いていきたいと思います!
エジプトのカイロでは、別のホストの家にお邪魔していました!
実は僕の兄も3年前に世界一周をしていたのですが、兄がエジプトで泊まったホストがこの人!
兄弟揃って同じホストにお世話になるなんてありがたい。
「山本家には俺の家のビザを発行したから、いつでも入国していいぜ!がっはっは!」という感じにいつもジョークを言ってくれる面白いエジプト人で、これまた良い人に巡り会いました。
エジプトといえばピラミッド!最高気温が40度にもなる酷暑の中、観光してきました。
近くで見ると一つ一つの石が大きい!人間よりも大きいです。
よく数千年も前にこんなものを建てられたなあ...
ピラミッドの内部のお墓にも入ってきました。(2000円もした)
泥棒が開けたという穴からピラミッドの内部に潜入。
中に入ると外と違ってひんやり。狭くて急な階段がずっと続いています。
階段を登りきった先には5m四方くらいの小さな部屋があって、中身が空の棺桶が置いてありました。(監視の人がいたので写真は撮れず)
スフィンクスにも無事ご対面。
気温40度の中、日陰の全くないピラミッドを観光するのはかなりしんどかったです(笑)
人生で一回は行きたいけど、2回目は行かなくてもいいやランキング第1位って感じのピラミッドでした。
その次は、エジプトのミュージアムへ。
ゲームとかで見た石像が目の前にたくさん鎮座してる...!!
一生分の"エジプトっぽいもの"を見ました。現代アートとかと違って、分かりにくさは全くなく、
金ピカ!大きい!彫刻がめちゃ細かい!!
みたいな感じで王様の威厳を表すために分かりやすく迫力のあるものばかりなので、見てて楽しかったです。
今回は普通の旅行記になってしまいましたが、真面目な投稿だけじゃなくて、こういうテンポよく書ける旅の日常の記事も増やしていこうと思います!
ではまた!
僕が旅する意味が最近ようやく分かってきた
「君はどんな宗教を信じているの?」
どの国に行っても必ず聞かれる質問。
僕は無宗教です。運命の存在、ぼんやりとした"神様"の存在は信じているけど、特定の神を信じてはいない。
説明するのが面倒くさくて「I am Buddhist.」と言って逃げたり、神道と仏教を説明した上で、強くは信じていないことを説明したり。その度に、自分にとって宗教とは何なのだろうと考えさせられます。
旅道中で様々な宗教を信じる人に会いました。
瞑想を毎日行う修行者、五体投地しながらお参りをする仏教徒、モスクに集うイスラム教徒、十字を切りながら祈りを捧げるキリスト教徒。
敬虔に神を信仰している人もいれば、教会にほとんど行かないクリスチャンまで。
たくさんの人と宗教の話をして、それぞれの宗教の違いを勉強すればするほど、宗教がどれだけ人々の生活、歴史に根深く関わってきたかに驚かされ、もっともっと宗教のことを学びたいという気持ちになります。
一方、日本では宗教の話はタブー視されています。
第二次世界大戦に負けて、明治維新以降に国家神道を掲げて天皇を神格化したことを反省した影響からか、大多数の人が「宗教は危険だ」と宗教に無関心になってしまいました。
さらに宗教を信じるというと、なにか狂信的なオウム真理教などの事件を思い起こさせる影響もあるかもしれません。
葬式の時にはお経を読むし、新年には神社に参拝するけど、形骸化した儀式が行われるだけで、その意味を理解している人はほとんどいない。実際のところほとんどの日本人が無宗教と言ってもいいでしょう。
日本の自殺数やうつ病患者数に目を移すと、それらは驚くほど多くて、時代の変化のスピードに心がついていけなくて不安定になってしまっていることは確実だと思います。
そういう時に何か心の拠り所になる哲学とかを持っていればいいけど、持っていない人にとっては、宗教の力が果たす力は大きいと思います。
僕は医学部で勉強していますが、心の病気を薬が全て治せるワケなんてなくて、スピリチュアル的な側面は確実にあると思っています。
だからこそ人の心を支える宗教を学びたいと思って旅を始めました。
そんな日本人で無宗教の僕だからこそ、旅をしていて見えてくるもの、感じるものがあるのではないか。
最近僕にはそう思えてきました。
例えば、ある敬虔なムスリムの人にイスラム教のことを教わっていた時のこと。
イスラム教の素晴らしさ、他の宗教への論理的優越性を教えてもらって、
僕も「イスラム教って想像してたよりも緻密で、かなり優れた宗教だなあ、ムスリムの人たちも親切な人多いし、いいじゃん」と思っていました。
しかし、その人は話の途中で、キリスト教徒やユダヤ教徒、ヒンドゥー教などの多神教を信じている人たちのことを
「stupid people」
と言ったのです。
アラーこそが唯一神でアラーを信じない野蛮で未開な人々に、イスラム教を教えてあげる必要があると。
イスラム教をいくら素晴らしい宗教だと思っているからと言って、その心の下に異教徒を見下す気持ちが見え隠れしているのが見えて、僕は気持ちがよくありませんでした。
結局、僕はイスラム教自体の他宗教を認めようとしない性質が感情的に好きになれず、イスラム教徒にはなれそうにないなと思いました。
その人からすれば、イスラム教を強く信じているからこその発言で、特に悪意はなかった。おそらく彼には、彼が信じる以外の宗教の話は全然頭に入ってこないと思うのです。
これはイスラム教だけの話でなくて、キリスト教もユダヤ教も他の宗教も程度の差こそあれ信じるものがあればバイアスがかかってしまうのは避けられないと思います。
だけど、特に信じている宗教がない僕からすれば、全ての宗教をほぼ中立に見ることができる。
さらに、僕はラッキーなことに世界各地を旅させてもらえている。
理解のある家族、多くの応援してくれる友人、その他もろもろの条件に恵まれているおかげで。
世界各地で、それぞれの宗教を信じる人に直接会って、一緒に時間を過ごすことで、宗教と生活の関わり、その人の宗教への熱量とかを肌で感じ取ることができます。
対照的に、インドに行っても、エチオピアに行っても、その国を出たことはよもや、その町を出たことすらない人ばかり。日々の暮らしをするお金を稼ぐだけで精一杯で、まさか海外を旅行するお金も余裕もありゃしない。
そういう人たちもいる中で、自分の行きたいところを旅できるって本当に幸運なことです。
その幸運に恵まれた人は得た経験を自国に持ち帰って共有しなければならないと思います。
昔から文化交流は、各地を旅する隊商によって行われてきました。それは今も同じ。
今後、宗教の力はますます重要性を増すはずです。日本人という立場を生かして、もっと深く宗教のことを学ばないといけない。
僕としては、時代の変化に伴って、イスラム教に代わる新しい世界宗教がそろそろ生まれてもおかしくないのではと考えています。
そんな新しい時代の節目に、人間の思想の根本を支える宗教、哲学を学ぶことは大いに重要だと思います。
せっかく1年近く旅できるという幸運に恵まれたのだから、旅で学んだ異国文化を伝えるという自分の役目を果たすべく、これからも楽しくパワフルに旅を続けていきたい!
それが自分にできるベスト、僕の役目だと考えています。
~以上、エチオピアの14時間にも及ぶ長距離バスに揺られながら考えたことでした~
最後まで読んでくださってありがとうございました。
エチオピアを旅してて思ったチャイナチャイナ問題はこちら↓