ネパールで善意を利用されて悲しくなった話
こんにちは。まおです。
今は無事エジプトに着いて、イスラムのことを教えてもらいながらラマダンをしています!
ブログの更新が遅くなってしまいました。
今回はエジプトの前に滞在していたネパールで起こったことを書いていきたいと思います。
インドからローカルバスに揺られて5時間。ネパールとの国境に向かった僕...
インドとネパールの国境を抜けるとそこは天国であった。
インドでは外国人だと見るとタクシーの客引きがひっきりなしに寄ってきて、追い払ってもしつこく勧誘してくるのだ。(それも法外な料金で)
僕はインドには2週間くらいしかいませんでしたが、しつこく話しかけてくる客引きやら、麻薬売人やらに精神的に疲れていました。
ネパールに入ってみると...!
客引きが素直!!追い払うとすぐ引っ込みます。
ナニコレ...!インドと大違いじゃん!!ネパール人めっちゃいい人!!
とすっかり安心した僕は、ネパールの雄大な自然とゆっくり流れる時間に、心がすっかり癒されていました。
居心地が良すぎてネパールには2週間くらい滞在していました。
そんなある日、ネパールの首都カトマンズの街をぷらぷら歩いていた時に、あるネパール人のお兄さんに声をかけられました。
「ナマステ〜どこから来たの?えっ日本!いいね!
君、今日はラッキーだよ。なんてったって今日は数ヶ月に1回のお祭りなんだよ!お寺で家族のためにお祈りする日なんだ。よかったら案内してあげようか?もちろん僕はガイドとかじゃないからお金はいらないよ!」
インドでこんな風に道端で声をかけられても僕はついて行かなかったでしょう。そういうインド人は99%詐欺だから。
でも、ここはネパール。僕はこの人を信じたくなっていました。
インドでは「人を見たら泥棒と思え」の言葉通りに、全員を疑ってかかっていたので、精神的に疲れていました。心の底では「やっぱり人を信じたい」と思っていたんだと思います。
「本当にお金いらないの?じゃあお願いしようかな」
彼はとても親切に色々なお寺を案内してくれました。
「ここは◯◯神が祀られているお寺なんだ〜ヒンドゥー教はたくさんの神がいるからね〜」
「ネパールのお寺は時計回りに回るんだよ、◯◯って唱えながら回るんだ」
ガイドブックには載っていなかったことも詳しく話してくれて、すごくありがたいな〜と思ったのを覚えています。
さらに礼拝に必要なお金や、インドの人が額につける紅もお金出して塗ってくれて、僕がお金を払うよと言うと
「いやいやいいんだ。僕が日本に行った時に同じように案内してくれれば嬉しいよ。」と言ってくれて、いい人すぎる...と感激してしまいました。
ネパールは2015年に大地震が起きて、数千人もの人が亡くなりました。観光名所のお寺も崩壊した場所も多く、今も再建中のところがたくさんあります。
彼は言いました。「君は兄弟とかはいる? 僕も2人の妹がいて、一人はとても小さいんだ。この前の大地震でネパールはとても貧しくなってしまったんだよ。僕の父も地震で亡くなって、家族は貧しいけど、みんな笑顔で暮らしているよ」
この頃にはすっかり彼を信用していて、同情の気持ちでいっぱいでした。
色々話している中で彼が一つ教えてくれました。
「ネパールにもインドにもたくさん物乞いがいるだろ?彼らにお金をあげてはいけないよ。それはバッドカルマだからね。お金をあげたらお酒とかタバコに使っちゃうかもしれない。もし何かあげたいなら、食べ物をあげるのがいいよ。それはグッドカルマだからね。
僕にも幼い妹がいるんだけど、もし君がよければあとでミルクとか食べ物を施してもらえるとありがたい。」
それまで親切に色々案内してもらって感謝していた僕は、少しならあとで食べ物をあげてもいいかなという気持ちになっていました。
街案内も終わり、ではお別れという時に彼が「さっきも言ったけどもしよければ妹のためにミルクを買ってほしい」と言って、食料品店までスタスタ歩き出しました。
ついていくと、彼が商品を手に取って選んでいます(笑)
まじか...俺が後で自主的に買って持っていくもんだと思ってた...
粉ミルク3つに〜
油の大きいボトル1つ〜
それを店主に渡して、僕の方をじっと見てきます。
...
え、、これ全部俺払うの???
急に態度が変わったなと思いながら、500ルピー(約500円)で足りるかなと思って店主にお札を渡すと、
店主が電卓をピッピと押して僕に見せてきた額が...
5500ルピー(5500円)。
いや、高すぎだろ!!!!そもそもどうやったらそういう計算になんねん!!!
僕が高すぎると主張すると、「妹たちのためにお願いだ...この粉ミルクが1ヵ月分なんだ」と言ってくる彼。
僕は嘘をついて「ごめん、今は1000ルピーしかもってない。ホテルにほとんど置いてきたんだ」と言うと、
彼の態度が豹変し
「じゃあ日本円でもいい。USドルでもいい。あと5000ルピー払ってくれ!」と言ってきました。
その時には僕はすっかり裏切られて悲しい気持ちになっていて、彼の態度の豹変ぶりに半ば唖然としていました。
あんなに優しく案内してくれて礼拝料も払ってくれた人が、いきなり強欲になるなんて...
絶対にこいつに5500円も払うもんかと思って、
僕は「500ルピー以上は払えない、もちろん君には感謝しているけど、金額の大小は関係ないだろ?」と主張しました。
彼はわかったわかったと言って
「じゃあ油はいらない。粉ミルクだけ。3500ルピー。どうだ」
いやいやそういう問題じゃないから!!!!
本当に心の底から呆れてしまいました。
その後もずーっと500ルピーしか払えないの1点ばりで主張していると、彼も諦めて500ルピー札だけポケットに入れて
「わかった。このお金じゃミルクは買えないけど、君から少しのお金をもらったおかげで、僕の妹たちもハッピーになると思う。」
と言い残して去っていきました。
裏切られた悲しさから、トボトボとホテルまで歩きながら今起こったことをよく考え直してみると
いやお前、物乞いにお金あげるのはダメだって自分で言ってたじゃん!!何お金受け取ってんだよ!(笑)
と心の中でツッコミ。
後々考えると、地震で父が亡くなったとか、幼い妹がいるとかいうのも全部嘘の設定だったのではと思えてきてしまいます。
普通に騙されるより、こういう善意を利用しようとしてくるタチの悪い人に騙される方が人間不信になりそうで精神的にダメージは大きかったです。
当たり前だけど、どの国にも良い人もいれば悪い人もいるというのを身をもって実感した出来事でした。
この人以外はみんなネパール人良い人だったよ...!
旅は続く...