【無国籍】愛すべき平和活動家イブラヒムじいさんに会ってきた
こんにちは。
今回でイスラエルで誰かの家に泊まってきたシリーズは最後。
前回記事
今回は可愛いじいさんに会ってきた話です!
イブラヒムじいさんに会ってきた
ある日、エルサレムの中心部にある屋台で食べ物を注文しようと列に並んでいた時のこと。
70歳くらいのアラブ人のじいさんに声をかけられました。
「日本人か?わしのことを知っとるか?わしの名前はイブラヒム。日本人の中ではなぜか有名なんじゃぞ」
顔を見てみると、なんだか見たことがある気がする...と思い出してみると、イスラエルの旅人の間では有名なあのイブラヒムじいさんではないか!
そう。この人、ただのおじいちゃんじゃないんです。
パレスチナ問題の平和活動家として長年に渡って活動を続けてきて、なんとアメリカのホワイトハウスに呼ばれたり、偉い人が集まる国際会議に呼ばれたり、とものすごい人らしいのです!
イブラヒムじいさんは、エルサレムにあるピースハウスという宿(というか自分の家)を35年以上もオープンしていて、ここを拠点に様々な平和活動が行ってきたそうです。完全寄付制で誰でも泊まることができるので昔から旅人の間で人気となっていました。
↑ピースハウスの存続協力を訴えるホームページ
しかし、イスラエル政府はパレスチナ人に建設の許可を与えていないため、数年前に彼のピースハウスも撤去を命じられたそう。しかし、ピースハウスの存続を求める人たちの賛同と協力によって、多大なお金を罰金として払って今はなんとか存続できている状態。
というような厳しい状況で、さらにネットの噂ではイブラヒムじいさんも高齢なのであまり宿にいないという情報があったりして、僕は泊まるのを諦めていました。
そんなところに偶然エルサレム市内でばったり本人に会えるという奇跡!
「ウェルカム!ウェルカム!ユーアーマイファミリー!」
と言って、宿に招待してくれるじいさん。
これも運命だと思って、急いでその日泊まる予定だったホテルをキャンセルし、ピースハウスに行ってきました。
ピースハウスへ
エルサレム旧市街からバスで10分ほどのオリーブの丘の上にピースハウスはありました。ちなみにオリーブの木は平和の象徴だそう。
着くとすぐに「ウェルカム!ウェルカム!ユーアーウェルカム!」とめっちゃウェルカムを連呼するイブラヒムじいさん。
そして
「腹減ってるだろ、イート!イート!」と言って、色々用意してくれました。
そう、このじいさんの口癖は
「ウェルカム!」
「イート!!オール!モア!」
そしてどこで覚えたのか
「ゴハン、アリガトー!」
泊まっている時はひたすらこのイート口撃を受けました(笑)
泊まっている人が美味しそうにご飯を食べるのを見るのがじいさんの喜びだそうです。
本当にこうやって無償の愛を受けるのはとても嬉しくなったし、すぐにじいさんの人柄が大好きになりました。
そしていつの間にか寝ているイブラヒムじいさん。。
このじいさん、かわいい。。
イブラヒムじいさんてどんな人?
イブラヒムじいさんはパスポートを持っていません。要注意人物なのでイスラエル政府から発給されていないそうです。それでも彼はトラベルドキュメントというものを与えられていて、それで各国に行けるそうです。
「アメリカ政府から市民権あげるよって言われたけど、断ってやったよ!わしはどこの国民でもない無国籍なのがいいんじゃ!わはは!」
とじいさんは笑っていました(笑)
なんだか詳しくは知らないけどすごいイブラヒムじいさん。若い頃は何していたの?と聞いて見ると驚きの答えが返ってきました。
「若い頃は世界中を旅してたよ。それも一切ホテルに泊まらないでな。
手紙を毎月1000枚も書いて、友達に送ってた。そうやって泊めてくれる人を探して旅してまわったんだ。だから、わしは生涯、酒とタバコをやったことがない。そのお金を全部ハガキ代に使っちゃったからな、ガハハ」
そんなに努力して旅してたのか。。それもインターネットのない時代だからって手紙を千枚も?すごすぎる。
イブラヒムじいさんはそんなに多くを語ってはくれませんでしたが、そういう若い頃の旅の経験でおそらくたくさんの人から優しさをもらったんでしょう。
だから、今こんなにみんなに無償の優しさを与えるような人になったんじゃないかな〜と思いました。
All is One
そんなイブラヒムじいさんに宗教の質問をしてみました。
「イブラヒムじいさんはムスリムなの?なんの宗教を信じているの?」
するとこうじいさんは答えました。
「わしは確かにムスリムだが、わしの宗教は"All is one"(みんなは一つ)じゃ。ムスリムとかクリスチャンとかユダヤ教徒もみんな一つじゃ」
これを聞いたとき僕はハッとしました。
「この人はムスリムだからこう」「この人はクリスチャンだからこう」「この人はユダヤ教徒だからこう」
と今まで勝手に自分の中で区別してステレオタイプを持っていたことに気づかされたのです。
その人が何の宗教を信じていようと、人間はみな同じ。
そんなことをイブラヒムじいさんの姿勢、言葉から教わったような気がしました。