まおの世界修行ブログ

とある医学生が世界各地で修行しながら世界一周するブログ

一番"運"の悪かった日

巡礼を始めて2週間ほどたった頃...

 

僕の足は限界に達していた。

 

日本で巡礼用に買った丈夫なトレッキングシューズも、15kgにも及ぶ重い荷物を背負って、1日25~30kmにも及ぶ長い距離を歩くのは想定されていないのだろう。

 

左足のアキレス腱の部分が、靴擦れを起こして普段の2倍くらいに膨れ上がり、歩けないくらい痛くなっていた。

 

どうしようもないので、普段履きに使っているクロックスで歩くことに。

 

今振り返ると、800kmある巡礼路のうち半分以上をクロックスで歩いていた。

 

歩きやすいけど、急な斜面の山道や砂利道をサンダルで歩くのは流石にしんどくて、何のために歩いているんだろう...もう辞めたい...とネガティブな気持ちになっていた。

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それでも朝日は昇る

さらにその日は朝からお腹の調子が悪かった。

 

それでも歩かないわけには行かないので、ゆっくりながらも歩き始める。

 

スタートしてから20kmほど歩いた頃、お昼前に街に着いた。

 

ここで休憩してもいいんだけど、宿もまだ空いていないし、時間的にも中途半端だったので次の街まで目指すことに。

 

ただ、この次の街まではなんと13kmもあって、途中に一切街や休憩所がないのでぶっ通しで歩ききらないといけないのだ。

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何もない砂利の一本道

覚悟を決めて歩き出すも、だんだんと強くなる日差しに汗はダラダラ。

 

3kmほど歩いたところで事件発生。

 

お腹が...痛い...!やばい、もう我慢できない。

 

だが残酷にも一番近いトイレ(街)まで3km。これは間に合わない。

 

周りを見回すと、そこには草の茂み。近くに巡礼者も見当たらない。

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やるしかない。

 

意を決して草むらに飛び込み、地球の大地の上に致した。

 

スッキリした〜という解放感と、大地の上に直接したというダブルの解放感は少し気持ちよかったのは事実だけど(汚い話ですみません)

 

少し汚れてしまった下着を半ケツでいそいそと替えているときに、まさかの前方から自転車が。

 

自転車に乗ったおじさんは半ケツの僕をチラッと見て、二度見した後、見て見ぬふりをしてシャーッと通り過ぎていった。。

 

どう取り繕うこともできずにその後も宿までトボトボと歩き続け、宿で泣きそうになりながら下着を洗っていた時は、その日の運の悪さを呪うことしかできませんでした。

 

 

楽しい時間ばかりではない、巡礼の辛い部分を味わった1日でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩くのは一人。でも一人じゃないよ

カミーノデサンチアゴ。世界中から集まった巡礼者が、スペインのサンチアゴデコンポステーラ大聖堂を目指し何日もかけて歩く、長い長い旅。

 

基本的に巡礼者は1人の人が大半だ。全行程を歩こうとすると1ヶ月以上かかるこの巡礼に、友達などとタイミングを合わせて歩くのは大変だからだろう。

 

それでも同じ道を歩いていると、同じ巡礼をしている境遇が似た者同士、すぐに仲良くなる。

 

 

僕もカミーノで運命的な出会いをした。

 

歩き始めて3日目。

 

大きなバックパックを背中に、小さいリュックをお腹に、2つ背負って歩いている20代くらいの韓国人ぽい男性を発見。

僕以外に背中とお腹に2つ背負って巡礼している人を見るのは初めてだったので、「この人も世界一周中!?」とテンションが上がり声をかけてみた。

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彼の名前はジェイ。

予想通り、彼も世界一周中で、これまでにロシアやヨーロッパを旅してきたらしい。今28才でなんと3年前にもカミーノを歩いたことがあるらしく、今回が2回目の巡礼だそうだ。

 

そしてさらに...

 

彼が世界一周を始めたのは僕と同じく4月11日だということが判明!!

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韓国人のジェイ。イケメン。

まさかの偶然の出会いにすぐに意気投合。

ジェイと一緒だった韓国人の女の子メイと3人で一緒に歩いていくことになった。

 

一人でいるときは、全部外食だったんだけど、ジェイやメイといる時は彼らご飯を作ってくれるので、いつもご馳走になっていた(笑)

料理素人の僕はいつも皿を洗う係...(笑)

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右のトマト&卵煮込みが絶品だったので毎日作ってもらってた

 

この二人に限らず、韓国人は料理好き?みたいで皆手の込んだ料理を自炊していて、感心するばかり。僕も日本食の一つくらい作れるようにならなきゃ...

 

基本的にアジアから巡礼に来ている人は、8割韓国人、1割台湾人、1割日本人という感じの割合で、韓国の人と友達になる機会が多かった。

 

仲良くなった韓国の人は、なぜか皆日本に旅行に来たことがある人ばかりで「日本大好き」と言ってくれる人ばかり。

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会社やめてきたデヒョンと同い年のジュンハン

歩きながら彼らと話していて、日韓の関係とかの話題になることも多かったけど、反日!みたいな偏見を持ってる人は誰もいなかった。

思うんだけど、そういう偏見を持ってる人ってたぶん相手国に友達とかいないよね。韓国に限らず、中国でもその国の人と一人でも知り合ってみて仲良くなれば、偏見も変わると思うんだけどな。

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台湾フレンズと

 

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みんなでラーメン作って食べた

もちろん日本人にもたくさん出会った。

巡礼初日に偶然同じ宿だったユミさん。長年夢だった巡礼をするために看護師の仕事を一旦ストップして来たそう。

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ユミさんと日本食頑張って作った


同い年の大学生で、卒論のテーマに巡礼を歩いているさとみさん。大学のために途中で彼女が帰国しないといけなくなって、最後会うために1日で50km歩いたのもいい思い出。

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青春ぽい写真

おばあちゃんとの出会い

このおばあちゃんはウルグアイ出身のマグダレイナさん。

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パワフルすぎるウルグアイのおばあちゃん

もう70才は超えてるのに元気なこのおばあちゃん、只者じゃない。

実はウルグアイで有名な絵本作者で、これが巡礼4回目。カミーノの経験を本にして出版もしたそう。

彼女からは色々なことを教わった。

道端に生えているどのイチジクが美味しいか教えてくれて、食べさせてくれたり。

どこの景色が綺麗とか、どういう心構えでカミーノを歩くといいかなども。

彼女は毎日瞑想をするそうで、カミーノを歩くのも瞑想の一部だと言っていた。

 

とても印象的だったのが、道端にあったブドウ畑を指差してBeautiful! と何度も言っていたこと。

その時僕にはただのいつも通りの風景の一部に見えていたんだけど、彼女は常に新鮮な目でもって風景を捉えていたから、そういう風に毎回感動することができていたのだと思う。

同じものを見ていてもそれに本当に"気づく"ことができているのか。

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静かな林の道。美しい

旅を長く続けていると、徐々に見知らぬ風景にも慣れていって感動が日に日に薄れていってしまう。マグダレイナおばあちゃんのように常に心をフレッシュに、感動をキャッチできるようになりたいなと思った。

 

そして彼女に何となく質問をしてみた。

「何の宗教を信じているの?」

彼女から返ってきた答えに僕は驚かされた。

 

"My religion is... LOVE!"

 

 そう。イスラエルで出会ったイブラヒムおじさんと全く同じ答えを返してきたのだ。

maonologue.hatenablog.com

 「私はクリスチャンだったけど、数年前にやめたの。私はあの人がキリスト教で、あの人はイスラム教、ユダヤ教...みたいに分けるのが嫌いなの。キリスト教イスラム教も仏教も全部同じだと思ってる。私の宗教は”Love”よ。」

 

本当に彼女と一緒に歩いていると、70を超えたおばあちゃんなのにこちらの方が元気をもらうくらいハッピーになっちゃうし、別れ際もギュっとハグをしてくれてLoveがひしひしと伝わってきた。

 

言葉で世界平和とか言うのは簡単だけど、イブラヒムおじさんにしろマグダレイナおばあちゃんにしろ、その全身であふれるほど愛を発散しているような人に触れると「ああ、これが愛だな、平和だな」と感じた。

 

宗教にはいろんな問題があって、学ばないといけないことも多いけど、そういうのを超越するようなこの人たちの個人としての態度、生き方は単純にカッコいいし、これこそが本質のような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペイン巡礼・石に込めた巡礼者の思い

 

巡礼を歩き始めて数日。

 

初日のピレネー山脈越え以降は徐々に道が平坦になってきて、また身体も巡礼に慣れてきたので楽しく歩けるようになってきた。

 

巡礼中の一番の楽しみは朝日。

巡礼ではサンチアゴコンポステーラを目指してひたすら西の方角に歩いて行くので、毎朝、太陽が背中側から昇ってくる。

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ふと後ろを振り返ると、真っ赤な朝日がゆっくり地平線上から昇ってきて、道が徐々に明るくなっていく。太陽のその圧倒的な存在を毎朝実感して、拝みたくなる。

こんなに素晴らしい朝日を毎日見れるということこそが、一番の贅沢なんだなあと思う。

 

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綺麗な雲と印象的な一本の大きな木。

 

 

道沿いに実っているベリーやイチジク。

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小鳥になった気分で、ブルーベリーをつまんで食べてみると、とても甘くて美味しい。

 

こういう風に道沿いの植物に注目しながら歩いていると楽しいし、自然と仲良しになった気持ちを覚える。

 

自然からの頂き物だけじゃなくて、巡礼中はいろんな人からたくさんのものをもらった。

巡礼者のために、道沿いに寄付制で飲み物や食べ物を用意してくださってる人。

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こんなにかわいく飾り付けしてくれていたら、元気でるよね。

 

顔も見たことないけど、毎日こうやって巡礼者のために用意してくれている人がいるんだなあと思うと、あなたのことは知らないけど本当にありがとうと心の中で呟きたくなった。

 

巡礼者同士でもみんな「ギブアンドギブ」の思いやりを持っていて、

僕が足を痛そうにしている時に「この薬が効くからあげるよ!」と薬をもらったり、「ご飯作ったから一緒に食べない?」とご馳走になったり、本当にみんなに優しくしてもらった。

 

逆に僕にできることは何だろうと考えて、いろんな場面で優しくできるように心がけるようになっていた。

 

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 カミノデサンチアゴの道中ではこのような石を積み重ねたものをよく見かける。

 

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道しるべの上にも石

カミノデサンチアゴを歩く人は、それぞれ歩こうと決めた理由も様々。

人生の転機に悩んで歩き始めた人。

家族や愛する人を失って弔いの意味で歩いている人。

罪滅ぼしのために歩く人。

 

何か自分の重荷に感じるものや捨てたいもの。家から持ってきた石に、巡礼者はその思いを込めて、巡礼道中に置いてくるそうだ。

 

巡礼者も10代から80代まで男も女も年齢も様々。でもいろんな人がいろんな思いを抱えて同じ目的地に向かって歩いているんだと思うと感慨深いものがあった。

 

 

 

巡礼始まりの街・サンジャンピエドポーそしてピレネー山脈越え

こんにちは、まおです。

 

今回はいよいよ巡礼スタート、初日の様子を書いていこうと思います。

 

93日、パリから電車でサンジャンピエドポーという町に向かいました。

 

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こんなに駅も小さくてかわいい



この町は、人口1500人くらいの小さい町ですが、「フランス人の道」という巡礼でも最も人気の道のスタート地点なので町は巡礼者で賑わっています。

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まずは、巡礼事務所で手続き。

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ここで、巡礼証明書をもらい、そして巡礼者の印であるホタテの貝殻を受け取りました!

 

巡礼ボランティアの方からのアドバイス

「自分のペースでゆっくり歩いてね。カミノデサンティアゴは、競争じゃないからね。ルールはただ一つ。毎日、少しずつ歩いて違う宿に泊まってスタンプをもらうだけ。もし気に入った町があれば、その町の別の宿に泊まれば2泊することもできるからね。」

 

明日から始まる巡礼にワクワク。

 

巡礼者は、ヨーロッパ系5割、アメリカ・カナダ2割、南米1割、韓国2割という感じ。

 

アジア人ぽい人は、ほとんど韓国人、または台湾人で、日本人はほとんど見当たらなかった。韓国はクリスチャンの人も多く、カミノデサンティアゴが国内で有名なんだとか。

 

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これが宿の様子。一泊10ユーロ。毛布とかはついていないので、持参した寝袋を使って寝ます。

 

巡礼中はだいたい皆57時には起きて歩き始めるので、22時には消灯されます。とても健康的な生活。笑

 

巡礼初日

1日目はピレネー山脈というフランスというスペインの国境に横たわる山越えの日。高低差1200m, 距離28kmで、なんと初日にして最も過酷だと言われているらしい()

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朝は530分には起きて支度。いよいよ出発!

 

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僕みたいに荷物を前と後ろに背負っているアホなんて見当たらなくて、まわりの巡礼者の荷物の平均重量は8kgくらいだった。(僕のは17kg)

 

最初のうちは意外と順調だった。世界一周中もこの荷物担いで移動してるからねなんて思ってたけど、それも道が平坦な時だけ。

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道が徐々に急になってきて、足取りが重くなってきた。

さらにスペインの強い日差しが容赦なく照らしてきて、汗もびっしょりになってきた。朝は長袖じゃないと寒いくらいだったのに。

 

世界一周中で重い荷物を持ってる僕は、すぐ疲れてしまって何回も休憩してしまう。何人も歩くのが速い人たちに追い抜かされるけど、自分のペースを守るのが大事なのでゆっくり。

 

ピレネーの険しい登り道をなんとか登り切ると、素晴らしい景色が広がっていた。

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馬、羊の牧畜が行われていて、とてもピースフルな風景。

 

 

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綺麗な景色のところだと足も自然と軽くなる。

 

結局朝6時30分に出発して、13時30分頃に今日泊まる宿に到着した。

合計7時間。27km。早速足の裏にマメができた。

この巡礼で何個できるのかな。笑

 

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夜ご飯は10ユーロの巡礼者用のボリュームたっぷりご飯。

 

初日は道も過酷だったし全てが新鮮だったから、あまり自分のこととかを考える余裕はなかった。

 

夜はみんな疲れているからか、いびきの大合唱が始まったので耳栓をしてなんとか23時に寝ましたとさ。

 

 

 

聖地へ続く800kmのスペイン巡礼道を1ヶ月間歩いてきた

こんにちは。更新が遅れてしまってすみません。マオです。

 

実はこの1ヶ月間、最後の修行となるスペインでの巡礼をしていました。

 

数回に分けて記事を書いて行こうと思います。

 

 

カミノデサンティアゴとは?

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サンティアゴデコンポステーラ大聖堂

カミノデサンティアゴ(Camino de Santiago)のカミノとはスペイン語で「道」、サンティアゴは、イエスの弟子のヤコブのこと。

この写真のサンティアゴデコンポステーラの教会に聖ヤコブの遺骸が眠ると言われており、古くからクリスチャンがこの教会を目指して歩いた巡礼路のことをカミノデサンティアゴと言うのです。

 

巡礼路はどこ?

目指す場所は一つでも、巡礼路はたくさんあります。

一番有名なのは、僕も歩いた「フランス人の道」。フランスとスペインの国境の町から800km近くを歩くルートです。他にも「ポルトガルの道」「北の道」「銀の道」など複数あり、中にははるばる自国の自宅からスタートする人もいるそうです。

 

巡礼の宿は?具体的に巡礼って何するの?

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宿はドミトリースタイル

巡礼路上の各町には「アルベルゲ」と呼ばれる巡礼者のための宿があって、一泊5~10ユーロくらいで巡礼者は泊まれます。

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巡礼証明書クレデンシャル

巡礼者には巡礼者の証明書となる「クレデンシャル」が配られて、これに宿に着くごとにスタンプを押してもらって自分だけのクレデンシャルを作っていきます。

だいたいの巡礼者は宿を朝早くに出発して、20~30kmくらい歩き、お昼過ぎに次の町の宿にチェックインしてゆっくりするというのが基本のスタイル。

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巡礼者の印のホタテの貝殻

巡礼者は、伝統的に腰やバッグにこのホタテの貝殻をつけて歩くのが巡礼者の印となります。

 

 

 

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次回は、巡礼の始まりの町・サンジャンピエドポー、そして初日して最大の難関・ピレネー山脈越えのことを書こうと思います。

 

ではまた!

 

【無国籍】愛すべき平和活動家イブラヒムじいさんに会ってきた

 

こんにちは。

 

今回でイスラエルで誰かの家に泊まってきたシリーズは最後。

 

前回記事

maonologue.hatenablog.com

 

今回は可愛いじいさんに会ってきた話です!

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イブラヒムじいさんに会ってきた

ある日、エルサレムの中心部にある屋台で食べ物を注文しようと列に並んでいた時のこと。

70歳くらいのアラブ人のじいさんに声をかけられました。

 

「日本人か?わしのことを知っとるか?わしの名前はイブラヒム。日本人の中ではなぜか有名なんじゃぞ」

 

顔を見てみると、なんだか見たことがある気がする...と思い出してみると、イスラエルの旅人の間では有名なあのイブラヒムじいさんではないか!

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イブラヒムじいさん

 

そう。この人、ただのおじいちゃんじゃないんです。

パレスチナ問題の平和活動家として長年に渡って活動を続けてきて、なんとアメリカのホワイトハウスに呼ばれたり、偉い人が集まる国際会議に呼ばれたり、とものすごい人らしいのです!

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右から3番目がイブラヒムじいさん

イブラヒムじいさんは、エルサレムにあるピースハウスという宿(というか自分の家)を35年以上もオープンしていて、ここを拠点に様々な平和活動が行ってきたそうです。完全寄付制で誰でも泊まることができるので昔から旅人の間で人気となっていました。

peaceforibrahim.weebly.com

↑ピースハウスの存続協力を訴えるホームページ

 

しかし、イスラエル政府はパレスチナ人に建設の許可を与えていないため、数年前に彼のピースハウスも撤去を命じられたそう。しかし、ピースハウスの存続を求める人たちの賛同と協力によって、多大なお金を罰金として払って今はなんとか存続できている状態。

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ピースハウス撤去に関する記事

 

というような厳しい状況で、さらにネットの噂ではイブラヒムじいさんも高齢なのであまり宿にいないという情報があったりして、僕は泊まるのを諦めていました。

 

そんなところに偶然エルサレム市内でばったり本人に会えるという奇跡!

「ウェルカム!ウェルカム!ユーアーマイファミリー!」

と言って、宿に招待してくれるじいさん。

 

これも運命だと思って、急いでその日泊まる予定だったホテルをキャンセルし、ピースハウスに行ってきました。

 

ピースハウスへ

エルサレム旧市街からバスで10分ほどのオリーブの丘の上にピースハウスはありました。ちなみにオリーブの木は平和の象徴だそう。

 

着くとすぐに「ウェルカム!ウェルカム!ユーアーウェルカム!」とめっちゃウェルカムを連呼するイブラヒムじいさん。

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そして

「腹減ってるだろ、イート!イート!」と言って、色々用意してくれました。

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そう、このじいさんの口癖は

 

「ウェルカム!」

 

「イート!!オール!モア!」

 

そしてどこで覚えたのか

ゴハン、アリガトー!」

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過去に泊まった日本人が書いたイブラヒム爺さん

泊まっている時はひたすらこのイート口撃を受けました(笑)

 

泊まっている人が美味しそうにご飯を食べるのを見るのがじいさんの喜びだそうです。

 

本当にこうやって無償の愛を受けるのはとても嬉しくなったし、すぐにじいさんの人柄が大好きになりました。

 

そしていつの間にか寝ているイブラヒムじいさん。。

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癒し系

このじいさん、かわいい。。

 

イブラヒムじいさんてどんな人?

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イブラヒムじいさんはパスポートを持っていません。要注意人物なのでイスラエル政府から発給されていないそうです。それでも彼はトラベルドキュメントというものを与えられていて、それで各国に行けるそうです。

アメリカ政府から市民権あげるよって言われたけど、断ってやったよ!わしはどこの国民でもない無国籍なのがいいんじゃ!わはは!」

とじいさんは笑っていました(笑)

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アメリカからトランプのコインももらったらしい

 

なんだか詳しくは知らないけどすごいイブラヒムじいさん。若い頃は何していたの?と聞いて見ると驚きの答えが返ってきました

 

「若い頃は世界中を旅してたよ。それも一切ホテルに泊まらないでな。

手紙を毎月1000枚も書いて、友達に送ってた。そうやって泊めてくれる人を探して旅してまわったんだ。だから、わしは生涯、酒とタバコをやったことがない。そのお金を全部ハガキ代に使っちゃったからな、ガハハ」

 

そんなに努力して旅してたのか。。それもインターネットのない時代だからって手紙を千枚も?すごすぎる。

 

イブラヒムじいさんはそんなに多くを語ってはくれませんでしたが、そういう若い頃の旅の経験でおそらくたくさんの人から優しさをもらったんでしょう。

だから、今こんなにみんなに無償の優しさを与えるような人になったんじゃないかな〜と思いました。

 

All is One

そんなイブラヒムじいさんに宗教の質問をしてみました。

「イブラヒムじいさんはムスリムなの?なんの宗教を信じているの?」

 

するとこうじいさんは答えました。

「わしは確かにムスリムだが、わしの宗教は"All is one"(みんなは一つ)じゃ。ムスリムとかクリスチャンとかユダヤ教徒もみんな一つじゃ」

 

これを聞いたとき僕はハッとしました。

「この人はムスリムだからこう」「この人はクリスチャンだからこう」「この人はユダヤ教徒だからこう」

今まで勝手に自分の中で区別してステレオタイプを持っていたことに気づかされたのです。

 

その人が何の宗教を信じていようと、人間はみな同じ。

 

そんなことをイブラヒムじいさんの姿勢、言葉から教わったような気がしました。

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イスラエル人の家に泊まってパレスチナをどう思ってるのか聞いてきた

こんにちは、まおです。

前回はパレスチナ人の家に泊まって、パレスチナの信じがたい現状を直接聞いてきました。

maonologue.hatenablog.com

 

今回はそれを踏まえた上で、エルサレムに住むイスラエル人の家に泊まって、色々聞きたいことを聞いてきました。

 

 

 

イスラエル人の家へ

今回泊まらせてくれたのはEmanuel Vizenくん。

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ヘブライ語でヤマモトマオって書いてくれた

 

彼は僕と同じ23歳で、アートを勉強している大学生。今度彫刻を勉強するためにイタリアに留学するらしい。彼の部屋には、彼が描いた絵や彫刻がたくさん並んでいる。

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彼の部屋

彼の部屋には合計で3泊もさせてもらって、ゆっくり過ごしながらいろんな話をした。

彼はいろんなことを知っていて、イスラエルでの生活、ユダヤ人のことなどを教えてもらい、彼自身も色々日本のことを聞いてくれた。

 

イスラエル人はみんな英語が上手で、彼も英語が流暢。

彼が作ったご飯を食べながら、彼が好きな「Rick and Morty」という有名なアメリカのコメディを一緒に見てた(見させられた)んだけど、正直英語が難しすぎて話の半分も分からなかった(笑)

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彼が笑うタイミングに合わせて、調子よく笑うという技術を身につけなんとかやり過ごしてた(笑)

 

彼とは一緒にご飯を食べに行ったり

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ファラフェルというイスラエル料理

夜はビールを一杯だけ飲みに行ったり

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イスラエルの高いビール(一杯500円)

街も丁寧に案内してくれて、本当に良くしてくれるいい人だった。

彼のおかげで、最近のイスラエルの若者の生活が体感できてとても面白かった。

 

ユダヤ教は信じていない?

Emanuelくん自身のことに話を戻すと、高校を卒業した後、イスラエル軍に1年半従事。ガザ地区のすぐ近くにも行ったことがあるそう。

 

イスラエルは徴兵制で、18才~22才の時に必ず、男性も女性もイスラエル軍に入らないといけないのです。女性も徴兵制がある国はイスラエルくらいじゃないかな。

街中でも、オフの女性兵士がマシンガンを持ちながら歩いているので、ちょっとびっくりする。

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フードコートでマシンガンを膝に乗せて座る女性兵士

 

あらかじめEmanuelくんの立場を説明しておくと、どちらかというと右寄り。(Conservative保守的と彼は言っていた)

そして、彼はユダヤ教は信じていない。正確に言うと、おそらく世俗派と呼ばれるグループで、ユダヤ教の律法とかには全く従わない人たちのこと。僕はイスラエル人はほとんど全員ユダヤ教を信じていると思っていたので驚いた。調べてみると、ユダヤ教を信じているとされている人の中でも、全く律法に従わない世俗派の人は43%もいるらしい。

 

まずパレスチナの現状を知ってる?

以下、僕が彼に色々聞いてみたことを書いていきますが、

正直、イスラエル人にパレスチナのことを当事者でもない僕が聞くのは憚られる気持ちもあったので、突っ込めない部分もあったけど許して下さい。

 

僕はまず彼に、僕が会ったパレスチナ人の話をした。パレスチナの人は隣町に行くのですら検問を通らないといけないこと。IDを発給されないから外国に行けないパレスチナ人がいること。

 

すると彼はこう答えた。

イスラエルの人は多くの人が、政府がパレスチナに対して何をしているか知っている。彼らの軍隊が圧倒的にパレスチナの軍力を上回っていることも。

それでも、例えば検問をやめるっていうのは、テロの危険性が増すから難しい。」

 

そう、やっぱりイスラエルの人にとってはテロが怖いんだって。

彼は「検問を作ってからは、エルサレムで起きるテロの件数も減ったから、検問をなくすことはできない」と言っていた。

 

パレスチナの人の話を聞いた僕からすれば、人権侵害だ!と怒る気持ちになっていたけど、実際問題、僕がもしエルサレムに住むイスラエル人だったら自分や家族の命が大事に決まっているんだからテロを起こす可能性のあるパレスチナに検問を作って当然だ、という考えになると思う。

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彼の部屋

パレスチナ占領について

そして彼にまた別の質問をしてみた。

イスラエル政府がパレスチナの土地に、ユダヤ人用の集合住宅を建設して海外からユダヤ人を呼び込んでユダヤ人口を増やそうとしてるって聞いたけど、ほんと?

 

彼はこう答えてくれた。

「今の政府がそうしているのは本当だと思う。イスラエル国内にもパレスチナ占領をストップするべきなんじゃないかという左寄りの意見も多いんだけど、現在の政府は右寄り。今のイスラエル政府の問題。」

 

なるほど。もちろんイスラエル人の中でも、これ以上パレスチナを占領しようとする動きに反対している人たちもいるんだね。それでも選挙で勝ったのが右寄りの政党だから、強行的な姿勢なのか。

ネットで調べてみるとこんな画像も出てきました。

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イスラエルパレスチナへの攻撃を批判するユダヤ

イスラエルの中でも、パレスチナへの姿勢がやり過ぎ、人種差別的だと思っている人たちもたくさんいるそうです。

 

Emanuelくんも言っていました。「もちろんアラブ人とは良くしたいけど、テロの危険も減らさないといけない。そのバランスが難しい。」

 

ユダヤの文化が優れている...?

というように彼は彼なりにおそらく中立な立場で彼の考えを教えてくれました。

でも彼の言葉で唯一引っかかるものがありました。

 

パレスチナのアラブ人の文化と、ユダヤの文化を比較するとユダヤの方が優れていると思う。もちろん全ての人間は平等だと思っている。でも文化のレベルで比べた時、彼らの文化やイスラム教はジハードとか言ってテロを起こしたりprimitve(原始的)だ。アラブ人は俺たちのユダヤの文化に学ぶべき、フォローすべきことがあると思う。」

 

アラブ人が劣っていると彼が言った訳ではないですが、なんだかこの言葉を聞いた時にユダヤ人のアラブに対する偏見を垣間見た気がしました。

僕は彼に「今まで旅してきてイスラム教はとても論理的な宗教だと思ったし、さらにISISとかは宗教を利用しているだけのテロ組織。アラブ人の文化は全然原始的ではないと思うけど」と言ったのですが、彼はなんだかあまり納得していない様子でした。

 

正直、これ以上深掘りするのは失礼だと思ったので聞いてませんが、彼にはおそらくアラブ人の友達がいる訳でもないし、アラブの文化を直接体験した訳でもないと思います。彼が旅行した国を聞いたけど、その中にアラブ圏の国はありませんでした。

 

そんな文化に優劣をつけても仕方ないと僕は思うんですけど、偏見とかをなくして、お互いが理解しあうためには個人レベルで友達になっていくしかないんじゃないかなあ。

そしたらアラブ人もいいやつじゃん!ってなってくれると思うんだけど。

 

難しいのかな。

 

まとめ

彼から話を聞く前は、完全に僕はパレスチナの肩を持っていたのですが、

イスラエル人の立場になって考えてみると、テロから自分たちの命を守るためならパレスチナ人を制限・管理しようっていう考えになってしまう気持ちも分かりました。

 

どちらかの得になることは、どちらかの損になることなので本当にどう解決すればいいのか難しいです。

 

でも客観的な数字でみると、戦闘で殺された数はパレスチナ人の方が圧倒的に多いし、現在のパレスチナ人の人権が無視された状況は絶対に看過されてはならないものだと思います。

 

イスラエルがこれからパレスチナに対して態度を軟化させていく方向になって、一刻も早くパレスチナに平和が戻ることを祈っています。

 

祈るだけじゃなくて自分にもできることがないか、探していこうと思っています。それがどんな方法になるのかは今は分かりませんが。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。

たまにブログ読んだよ〜ってLINEとかで友達が連絡をくれるんですが、めちゃくちゃ嬉しいです。これからもコメント待ってます。

 

次回は平和活動家・イブラヒムおじさんのピースハウスに泊まってきた時のことを書きたいと思います!

実はこのおじいさん、ホワイトハウスや数々の国際会議に呼ばれるほどのすごい人らしい。

お楽しみに。

 

 

 

 

 

 

 

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